専門家が語るキクイムシ被害の見分け方
私たち害虫駆除の専門家が、キクイムシの被害調査に伺う際、まず注目するのは、お客様が発見された「木くず」そのものです。この小さなサインには、被害の状況を探るための重要な情報が詰まっています。もしご自宅で不審な木くずを見つけたら、プロがどこを見ているのか、そのポイントを知っておくと、より正確に状況を判断できるでしょう。第一に、木くずの「質」です。キクイムシの幼虫が出すフンや木くずは、非常に粒子が細かく、指でつまむとサラサラとした、まさしく「きな粉」や「小麦粉」のような感触です。もし、木くずがザラザラしていたり、繊維質であったりする場合は、家具の摩擦や他の要因によるものである可能性も考えられます。第二に、木くずと共に見られる「穴」の大きさです。キクイムシの成虫が脱出する際に開ける穴は、種類にもよりますが、一般的に直径が1ミリから2ミリ程度と非常に小さく、ほぼ真円形をしています。画鋲の針で開けたような穴、と表現すると分かりやすいかもしれません。そして第三に、「被害に遭いやすい木材の種類」を知っておくことです。キクイムシは、木材に含まれるデンプンを栄養源としているため、デンプン質の多い広葉樹、特にラワンやナラ、ケヤキといった木材を好みます。一方で、スギやヒノキといった針葉樹は、デンプンが少ないため被害に遭いにくいとされています。ご自宅のフローリングや家具の材質が何であるかを確認することも、リスクを判断する上で有効です。これらのサイン、すなわち「きな粉状の木くず」「1〜2ミリの丸い穴」「広葉樹の建材や家具」、これらが揃った時、キクイムシの被害である可能性は極めて高いと言えるでしょう。